ロープ豆知識

各種繊維ロープの性能

下記の表はロープの物理的性能比較試験のデータです。
一般的傾向を把握するうえでの参考データとしてください。

引張強さ・質量・伸び・含水率および収縮率

下の表は、こちらのPDFでご覧いただけます。

品名／項目	引張強さの比(％)		質量の比(％)		破断時の伸び(％)		含水率	収縮率
	マニラロープを100とした場合		マニラロープを100とした場合		破断時の伸び(％)		10日間水中放置後
	乾時	湿時	比重		乾時	湿時	％	％
マニラロープ	100	83	1.45	100	14	21	40.1	8.1
サイザルロープ	97	76	1.30	100	14	22	52.7	7.9
クレモナロープ	153	120	1.26	83.7	36	43	43.7	7.2
ナイロンロープ	325	309	1.14	84.2	52	55	23.7	1.9
ハイラインロープ	150	174	0.95	70.0	42	44	26.0	0.7
PPスパンロープ	155	161	0.91	61.5	45	42	51.9	0.8
PPマルチロープ	190	201	0.91	67.6	49	48	36.3	1.5
PPモノロープ	154	174	0.91	68.1	38	40	21.2	0.7
PPテープロープ	145	156	0.91	61.5	42	40	41.1	0
スーパーロープ	190	201	0.91	65.8	33	30	16.3	0
ポリエステルマルチロープ	215	209	1.38	105	34	34	36.0	1.6

耐候性

下の表は、こちらのPDFでご覧いただけます。

品名／項目	サンシャインウェザーメーターによる耐候性			屋外暴露による耐候性
品名／項目	200時間	400時間	600時間	3ヶ月	6ヶ月	1ヶ年	2ヶ年	3ヶ年
マニラロープ	89	84	83	77	80	66	53	42
サイザルロープ	86	78	56	88	51	26	12	15
クレモナロープ	82	77	77	88	86	75	75	71
ナイロンロープ	100	90	89	92	89	83	72	66
ハイラインロープ	91	51	35	96	90	84	75	70
PPスパンロープ	98	63	53	80	68	61	46	37
PPマルチロープ	91	19	25	91	68	45	20	17
PPモノロープ	45	20	12	86	73	43	17	11
PPテープロープ	75	42	24	72	61	39	20	15
スーパーロープ	100	94	86	97	91	85	72	55
ポリエステルマルチロープ	98	94	88	95	96	86	86	78

耐摩耗性

繊維ロープは使用中に繊維相互、金属、岩石、砂などにより摩耗され弱くなり、使用不可能になる。ロープの耐摩耗性は重要な物性で樹脂の改良、加工方法の研究を行い耐摩耗性の向上をめざしております。

試験方法及び条件

各種12mmロープを使用し、乾式及び湿式により、切断までの摩耗回数を測定した。

試験機：耐摩耗試験機　名工精機製作所

下の表は、こちらのPDFでご覧いただけます。

品名／摩耗法	切断までの摩耗回数（ストローク回数）
品名／摩耗法	※乾式	※湿式
サイザルロープ	2,217	1,046
クレモナSロープ	634	3,312
ナイロンロープ	19,283	2,549
ハイラインロープ	2,624	3,700
PPスパンロープ	810	1,560
スーパーロープ	2,803	4,216
ポリエステルスパンロープ	770	2,016
ポリエステルマルチロープ	6,621	2,867
ハイクレロープ	2,005	2,783

酸・アルカリの影響

下の表は、こちらのPDFでご覧いただけます。

品名／項目	酸の影響	アルカリの影響
マニラロープサイザルロープ	硝酸で淡黄色となる。濃硫酸で膨潤。	膨潤するが損傷なし。
ビニロンロープ	濃塩酸、濃硫酸、濃硝酸で膨潤あるいは分解。10％塩酸、30％硫酸で強度殆ど低下なし。	50％苛性ソーダ溶液で強度殆ど低下なし。
ナイロンロープ	濃塩酸、濃硫酸、濃硝酸で一部分解を伴って溶解。7％塩酸、20％硫酸、10％硝酸で強度殆ど低下なし。	50％苛性ソーダ溶液、28％アンモニア溶液で強度殆ど低下なし。
ポリエチレンロープ	濃塩酸、濃硫酸、濃硝酸で強度殆ど低下なし。	50％苛性ソーダ溶液で強度殆ど低下なし。
ポリプロピレンロープ	濃塩酸、濃硫酸、濃硝酸で強度殆ど低下なし。	50％苛性ソーダ溶液、28％アンモニア溶液で強度殆ど低下なし。
ポリエステルロープ	35％塩酸、75％硫酸、60％硝酸で強度殆ど低下なし。	10％苛性ソーダ溶液、28％アンモニア溶液で強度殆ど低下なし。

他の化学薬品・溶剤の影響

下の表は、こちらのPDFでご覧いただけます。

品名／項目	他の化学薬品の影響	溶剤の影響一般溶剤：アルコール、エーテル、ベンゼン、アセトン、ガソリン、パークレン。
マニラロープサイザルロープ	酸化剤に対する抵抗性が弱い。	一般に不溶。
ビニロンロープ	一般に良好な抵抗性あり。	一般溶剤に不溶解。熱ピリジン、フェノール、クレゾール濃き酸に膨潤あるいは溶解。
ナイロンロープ	一般に良好な抵抗性あり。一般溶剤に不溶解。	フェノール類（フェノール、m-クレゾール等）濃き酸に溶解、永酢酸に膨潤　加熱により溶解。
ポリエチレンロープ	殆ど変化なし。	アルコール、エーテル、アセトンに不溶解。ベンゼン、ガソリンに高温時膨潤。パークレン、四塩化エタンに高温時徐々に溶解。
ポリプロピレンロープ	殆ど変化なし。	アルコール、エーテル、アセトンに不溶解。ベンゼンに高温時膨潤。パークレン、四塩化エタン、四塩化炭素、シクロヘキサノン、モノクロルベンゼン、テトラリン、キシレン、トルエンに高温時徐々に溶解。
ポリエステルロープ	一般に良好な抵抗性あり。	一般に不溶解。熱m-クレゾール、熱o-クロロフェノール、熱ニトロベンゼン、熱ジメチルホルムアミド、40℃フェノール、四塩化エタン混合液に溶解。

熱による引張強さの変化

下の表は、こちらのPDFでご覧いただけます。

品名／温度と時間	20℃	35℃	60℃	90℃	120℃	150℃
品名／温度と時間		30分	30分	30分	15分	15分
マニラロープ	100	89	81	71	68	50
サイザルロープ	100	89	83	76	56	49
クレモナロープ	100	98	95	76	72	51
ナイロンロープ	100	98	98	91	77	69
ハイラインロープ	100	73	47	22	–	–
PPスパンロープ	100	93	84	54	20	–
PPマルチロープ	100	90	70	48	31	–
PPモノロープ	100	82	51	30	17	–
PPテープロープ	100	82	59	35	19	–
スーパーロープ	100	87	68	31	18	–
ポリエステルマルチロープ	100	100	100	95	81	79

繊維ロープの見分け方

下の表は、こちらのPDFでご覧いただけます。

品名／項目	燃え方	臭気	試験後の状態	煙の性質
マニラロープサイザルロープ	溶融せずに容易に燃え続ける	紙を燃やすときのにおいを発する	少量の灰を残す	－
ビニロンロープ	収縮しながら徐々に煙をあげて燃える	ボバールの燃えるときの特有の臭気を発する	不整形塊状の灰を残す	酸性
ナイロンロープ	溶融してわずかに炎をあげるが燃え続けない	特有のアミド臭を発する	ガラス様のかたい球となりやわらかいうちに引張ると糸状になる	アルカリ性
ポリエチレンロープ	縮みながら溶融して燃える	蝋を焼くにおいを発する	冷えると褐色の塊となる	酸性
ポリプロピレンロープ	縮みながら溶融して燃える	蝋を焼くにおいを発する	ガラス状にかたまる	酸性
ポリエステルロープ	溶融してわずかに炎をあげるが燃え続けない	芳香族のにおいを発する	ガラス様のかたい灰を残す	酸性
ビニリデンロープ塩化ビニールロープ	収縮して溶融し燃えない	特有の塩素臭を発する	不規則なもろい黒色の塊になる	酸性

ロープの荷重と伸度の関係

下の表は、こちらのPDFでご覧いただけます。

品名		切断荷重に対する割合(%)
品名		10	20	30	40	50	60	70	80	90	100(切断)
サイザルロープ	加重(kN)	1.13	2.26	3.39	4.52	5.65	6.78	7.91	9.04	10.2	11.3
サイザルロープ	伸度(%)	4	6	9	10	12	12.8	13.1	13.4	13.7	14
クレモナロープ	加重(kN)	1.55	3.10	4.65	6.20	7.75	9.30	10.9	12.4	14.0	15.5
クレモナロープ	伸度(%)	12	17	21	24	27	29	31	33	35	37
クレモナSロープ	加重(kN)	1.72	3.44	5.16	6.88	8.60	10.3	12.0	13.8	15.5	17.2
クレモナSロープ	伸度(%)	13	18	22	25	28	30	31	33	35	37
ナイロンロープ	加重(kN)	3.47	6.94	10.4	13.9	17.4	20.8	24.3	27.8	31.2	34.7
ナイロンロープ	伸度(%)	18	25	30	35	38	41	44	47	50	55
ハイラインロープ	加重(kN)	1.77	3.54	5.31	7.08	8.85	10.6	12.4	14.2	15.9	17.7
ハイラインロープ	伸度(%)	12	16	20	23	25	27	29	31	35	40
PPスパンロープ	加重(kN)	1.75	3.50	5.25	7.00	8.75	10.5	12.3	14.0	15.8	17.5
PPスパンロープ	伸度(%)	13	16	20	23	26	30	33	36	39	42
PPマルチロープ	加重(kN)	2.08	4.16	6.24	8.32	10.4	12.5	14.6	16.6	18.7	20.8
PPマルチロープ	伸度(%)	13	17	21	24	27	31	34	37	40	44
PPモノロープ	加重(kN)	1.86	3.72	5.58	7.44	9.30	11.2	13.0	14.9	16.7	18.6
PPモノロープ	伸度(%)	10	14	18	21	23	25	27	29	32	35
スーパーロープ	加重(kN)	2.06	4.12	6.18	8.24	10.3	12.4	14.4	16.5	18.5	20.6
スーパーロープ	伸度(%)	8	11	13	16	18	21	24	27	30	34
ポリエステルスパンロープ	加重(kN)	1.67	3.34	5.01	6.68	8.35	10.0	11.7	13.4	15.0	16.7
ポリエステルスパンロープ	伸度(%)	13	18	22	26	29	31	32	34	36	38
ポリエステルマルチロープ	加重(kN)	2.47	4.94	7.41	9.88	12.4	14.8	17.3	19.8	22.2	24.7
ポリエステルマルチロープ	伸度(%)	12	17	21	23	25	27	29	31	32	34